キングダム KINGDOM

Special

放送直前!4週連続スペシャルインタビュー企画<第3弾>

週刊ヤングジャンプに掲載されたインタビューを公式サイトでも公開!

【第3弾】
信役:森田成一×嬴政役:福山 潤 スペシャル対談!(前編)

◆久々に演じた「第1シリーズ」の思い出

――:本日(※2021年1月に収録)は『キングダム』のコミックス最新刊の宣伝施策として、原作コミックスの1話から3話を改めて収録されたと伺いました。約9年ぶりに作品の冒頭を演じられてみて、いかがでしたか?
福山:今回はコミックスの宣伝ということで、当時のアフレコの内容を踏襲するのは違うなという思いがありました。9年前に演じた政と漂というキャラクター像を元に、今回は「原作漫画のコマ」に合わせてリブートさせていくような芝居を目指しましたね。

森田:僕は…ただ、大変でした!

福山:うん、収録を横で見ていて、いつもそう思ってるよ(笑)。よく喉、潰れないなって。

森田:9年前の収録の時のことは、今でもよく覚えてます。第1話のAパートとBパート、それぞれリハーサルを3回やってから本番を収録するという流れだったんです。なので、都合4回ずつ、あの熱い一連のシーンを演じることになったんですよ。マイク前に汗溜まりが出来る勢いで芝居をしました。ですので今回の収録の話を頂いた時には、当時の思い出が蘇ってきて「もう一度、ここをやるのか…!」と再び地獄を覗くような気持ちになりました(笑)。ただ、今回改めて収録させて頂いて、アニメの尺の都合でどうしてもカットせざるをえなかった原作漫画の台詞も、きちんと全て演じることが出来たんです。より原作に忠実に芝居することが出来て満たされる気持ちもあり、とてもありがたかったですね。

福山:えーと…、誤解なきように補足しますね(笑)。確かにリハーサルも含めて4回芝居をすることになったんですが、何もリハーサルの一発目からフルスロットルで演じて欲しいなんていうオーダーは受けてませんでしたからね!(笑)

森田:(笑)。

福山:リハーサルから全力で挑むと本番までもたないので、抑えるべきところは抑えるのが普通なんです。ですが、森田さんがいきなり全開で演じ始めたので「リハーサルからそのテンションでやるの!?」と現場が騒然として(笑)。もう大変ですよ。主役の信がフルスロットルですからね。自分だけ引くわけにはいきませんので…(笑)。

森田:現場の雰囲気作りというか「『キングダム』ってこういう作品だよ!」という空気を作りたかったのもあるんですよ。例えるなら、新学期が始まって初めて学校に登校するヤンキーが、クラスの同級生に「ナメられちゃいけない!」と、初日から一発カマす…みたいな感覚(笑)。「いいかお前ら!『キングダム』っていうのはこういう現場だからな!」と(笑)。

福山:確かに、そうだったのかもしれない(笑)。序盤の展開では、まだ万の軍勢同士の戦いにはならないじゃないですか。これからメインキャラクターが増えていって、役者陣もキャリアのある方々が入って来られるのはわかっていたんですが、収録現場は若手の役者も多かったんです。その中で「作品の目指す先を伝える」という方法論だったのかなという…。「ボスがここまでやるんだから、みんなもついてくるんだぞ!」という意思表示だったんですね。

森田:(爆笑)。

福山:収録終わりには、毎週のようにボスが若手を引き連れて飲みに行ってましたしね(笑)。ああやって若手を仕込んでいった甲斐もあってか、第2シリーズの廉頗が登場するあたりになると、若手のガヤがものすごく成長してて驚かされました。

森田:ちょっと昭和の体育会系的なノリでしたが、皆、ちゃんと期待に応えてくれましたね(笑)。

◆コロナ禍による収録の延期と再開

福山:3シリーズになって若手の役者の顔ぶれも一新されたので、また毎週のように「ボス」が若手を収録終わりに飲みに連れていって、『キングダム』の現場をイチから伝えていました。9年前の第1シリーズと同じような光景を、第3シリーズの1話の収録現場でも見ることが出来ましたね(笑)。

森田:義務感もあったんですよ。第3シリーズになって新人がたくさん「入隊」してきたから、「また鍛え直すのか…まったく、しょーがねーなァ!」って(笑)。実際、初めて『キングダム』の収録に参加してきた若い役者達は、まだ全然声の出し方がわかってませんでしたからね。このままじゃ、シリーズの半分も待たずに「討ち死に」してしまうぞという危惧もあって。彼らもちゃんと応えてくれて、今となっては頼もしく成長してくれました。

福山:コロナ禍で第3シリーズの放送は4話から延期となってしまいましたが、アフレコ自体は1クール分(※13話)まで収録が進んでいたんです。その3ヶ月間でなんとかギリギリ、作品のテンション感を森田さんが若手に仕込んでくれたので、その後の少人数収録に移行しても対応が出来たんじゃないかと思います。ガヤ録りが僕らとは別日の収録になっても、きちんと若手の役者だけで『キングダム』のガヤを務められるようになっていましたね。

森田:アフレコが再開しても分散収録という形態になってしまって、とても気がかりではあったんです。でも、音響監督の小泉さんが「分散収録でガヤ録りをやってみたけど上手くいったよ」と仰ってて。小泉さんが言うには、他の作品の現場では分散収録のガヤ録りというのはなかなか難しい状況だったらしいんですが、『キングダム』では若手の役者だけですんなり出来たと。それを聞いてとにかくホッとしましたね。もう安心して任せられるんだと、心強く感じました。

――:以前、別のインタビューで『キングダム』は役者の「一体感」が売りだというお話をされていましたが、コロナ禍以降そのあたりについてはいかがでしょうか?

森田:アニメの現場だけでなく、舞台などでもそうなんですが、こういった演劇のシーンというのは「集団芸術」です。全員で一致団結してこそ、初めて成り立つ形態ではあると思うんですね。特に『キングダム』は、そのエッセンスが凝縮された現場でした。第3シリーズもその心づもりでしたが、いきなり放り出されてしまい…。不安というよりも、恐怖を感じましたね。当たり前のように皆と共有しながら作り上げていけると思っていたものが出来なくなってしまった…。どうやって『キングダム』という座組を1つにすればいいのか、わかりませんでした。全ての演劇の現場で、ディスタンスを保ちながらモノを作り上げていく方法を模索しないといけないという危機感を覚えましたね。

福山:共演させて頂く皆さんの実力はわかっていましたので、僕個人としては分散収録に関する不安はそれほどでもありませんでした。イレギュラーな形態となって、かけ合いの相手の台詞がまだ吹き込まれていないような状況でも、きちんと呼吸を読んで、それに合わせた芝居ができる方々ばかりですから。ただ、一斉に揃って「よーい、ドン!」で収録する際には、現場で誰かが発した「熱量」が共演者に伝播していって、結果的にとてもいいシーンが録れるということがあるんです。現場で起こるリアルタイムな化学反応が作品を1つ上のステージに押し上げてくれるんです。そういった熱量が分散収録によって失われてしまうのではという不安はありました。ただ、人間も捨てたもんじゃないなと感じるのは、そういった状況でも徐々に対応していけるようになるんですね。以前よりも感覚を外へ広げながら収録する技術が身に付いてきています。むしろ音響周りに関しては、役者よりもスタッフさんの苦労が多いですよ。役者個人の収録時間は変わっていませんが、収録回数が増えることで単純にスタッフの仕事量は何倍にもなっているわけですから…。各スタッフさんの努力のおかげで、コロナ後の収録においても出来上がったフィルムは、それまでと差を感じられないものに仕上がっていると思います。

◆現実と重なった、嬴政の“檄”!

――:放送が再開される第3シリーズのアフレコについて、思い出をお聞かせください。

福山:「合従軍編」を原作で読んだ時から、この膨大な「熱量」をどうすればファンに届けることが出来るのだろうと、ずっと思い悩んでいました。しかし第3シリーズは、いきなり窮地から始まるじゃないですか。もう演技のテンションを探っている暇すら無いんですよね。けれど、以前の感覚の延長で演じるわけにもいかない…。実際に前回のアフレコから6年という時間も経過しているわけですし、今の自分の中で出来る限りの演技プランを作り直してアフレコに臨みました。第1、第2シリーズの頃は、「飛び込んでしまえ」というような若さもあったんですが、僕もキャリアを重ねたことで役の難しさについて当時よりも深く理解が出来るようになりました。とにかく収録に入るまでに頭の中で組み立てることが多くて、かつそれを自分自身で実現させないといけないというプレッシャーを噛み締めながら演じ始めましたね(笑)。特に政には、仲間を鼓舞するという重要な見せ場がいきなり回ってきます。そのシーンに向けて自分なりに6年間、研鑽を積んできたつもりではあったんですが、実際に演じてみて「まだ自分のレベルはこんなものなのか…?」と、ちょっと返り討ちにあったような気持ちにもなりました。もちろん、ディレクションで演技にはOKを頂きましたが、本音を言うと、自分では「もっと出来る」と思っていた部分もあって…。変な言い方ですが、自分の演技に満足しきれなかった自分がいたことに、ちょっとホッとした気持ちにもなったことが印象に残っています。

森田:1年前に第1話が放送された時期は、ちょうど世間にコロナが蔓延し始めた頃なんですよね。日本だけじゃなく、世界的にも疲弊しているような状況で、皆が「どうしよう…」と迷い、気持ちが負けそうになっていた時でした。そういった現実とも重なって、政が朗々と放ったあの鼓舞は、とても心に響きましたね。作品って、その当時の思い出だけではなく、再び体験した時に思うことなど、接するタイミングによって受け取り方も変わってくるじゃないですか。第3シリーズの第1話は僕もリアルタイムで視聴していたんですが、あの時勢にあのシーンを見たことで大泣きしましたし、ファンの皆さんにもとても響いたんじゃないかと思います。そして1年経った今も、まだコロナは終息していません。そんな現実の中で、また改めて政の鼓舞を聞くことが出来る。再びそのシーンを体験した時に、改めてどう感じてもらえるのかなと。「もう一度がんばろう!」なのか「…ちょっと自分は挫けていたかも」なのか、人それぞれに受け止めてもらえればと思いますね。僕自身も、もう一度オンエアであのシーンに向き合えることを楽しみにしています。

★インタビューの後編は次週掲載!


TVアニメ「キングダム」2021年4月4日(日)24:10~ NHK総合にて放送開始!

▶第2弾メインPV公開中!

▶第3シリーズの放送に先駆けて、第1・2シリーズのBlu-ray BOXが発売!
“魂を揺さぶるシーン”をレコメンドした特設サイトはコチラ

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『キングダム』原作者 原泰久

今年も4月からTVアニメ「キングダム」新シリーズが始まります!
敵国五か国の連合軍との戦いであった第3シリーズ「合従軍編」から一転、 今シリーズでは秦国内の権力争いにともなう戦いが色濃く描かれます。 王弟・成蟜の戦いを経て、嬴政は国内最大の障壁である呂不韋といよいよ対峙する時です。 キングダムの前半期のピークを迎えます。著雍攻略戦での信達の活躍にも注目です。
内容盛りだくさんの新シリーズもどうぞ宜しくお願い致します。

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